京城時代の崔承喜が安漠と結婚した後、彼の現代舞踊作品の傾向性が強化されたと記述した文献は少なくない。例えば、尹致昊は1932年1月30日の日記で次のように述べている。
「1月30日土曜日、とても寒い。妻とメリーと一緒に公会堂に公演-舞踊と單幕喜劇-を見に行った。満州で苦しむ朝鮮人救援募金のため、記者協会の鉄筆倶楽部が主催したイベントだった。
「舞踊家の崔承喜さんと彼の舞踊団が、自分たちをモチーフにしたタイトルで一連の無言劇を披露した。(1)宗教からの自由(Freedom from Religion) (2)土地に飢えた者(Land-hunger) (3)荒れた道(Rough roads) (4)悲しい歌(Sad note) (5)恐れることなく前進(Advance without fear)。このすべてのプログラムは精神と行動において共産主義的(Bolshevic)だった。哀れな女性たち、彼らは共産主義(Bolshevism)が自分たちを幸せにしてくれると思ったのだろうか?」
このような観察は、崔承喜がプロレタリア文士の安漠と結婚し、彼の影響でダンスまで急激に左傾化したという評価を生み出した。このような傾向性を嘲笑するために、崔承喜の作品を「ジュモクチュム(=拳踊り)」と呼ぶこともあった。しかし、これが安漠の影響とは言えないと思う。
白鐵(ペク・チョル, 1908-1985)は1978年1月20日付の「中央日報」に掲載したコラムで、崔承喜の舞踊を「拳踊り」と回想しながら、「プロレタリア舞踊というからといって、拳を振り回す動作の繰り返しに過ぎず、あまりにも単純で直線的な表現だった」と批判したことがある。
白鐵が代表的な例として挙げた拳踊りは、1931年1月10-12日に團成社で開催された第3回公演で上演された「彼らの行進曲」だった。1931年1月11日の<東亜日報(5面)>に掲載された<彼らの行進曲>の写真を見ると、さすがに6人の舞踊手が二本の拳を握って振り回す姿が写っている。
この発表会に際して、崔承喜は1931年2月号の<三千里(第12号)>に「公演の舞台に立って」という文章を寄稿したことがあり、ここで「ブルジョアは性的な意味でレビューを好むが、私たちはプロレタリアの感動を舞踊化してそれを見ることを要求する」と述べている。
問題は、「彼らの行進曲」などを含む「拳踊り」作品が発表された第3回発表会は、崔承喜が結婚(1931年5月)や安漠との初対面(1931年2月)よりも前のことだったという点である。崔承喜の京城時代の拳踊りが安漠の影響によるものだと見るのは時期的に合わない。
安漠と出会う前に崔承喜のマネージャーは兄の崔承一だった。 彼もまた社会主義者で、1922年に無産階級解放文化を目標に結成された「焰群社」の創立メンバーだった。崔承一は1925年、「焰群社」と「パスキュラ」が統合されて結成されたカフ(KAPF)のメンバーでもあった。
しかし、崔承一も崔承喜の京城時代(1929-1933)の舞踊作品に傾向性を求めなかった。一例として、崔承一は傾向性の強い作品より『インド人の悲哀(Indian Lament)』を最も感動的な作品だと激励したことがある。<崔承喜の自敍伝(1937:53)>で崔承一はこう言った。
「君、思い出すか? 深夜の静かな部屋で君は私の前でクライスラーの「インディアン・ラメント」を涙を流しながら振付していたことをね。 私たちはその夜、ロシアに行こうとしていた情熱を「インディアン・ラメント」のメロディの上に乗せていた。」
これは、崔承一が1926年以降、カフを脱退して生活人になり、安漠も結婚後、自分の文筆運動をやめたからかもしれない。 しかし、彼らの社会主義文芸運動に対する情熱が最も強かった時にも、崔承喜の舞踊作品に影響を与えようとした痕跡は発見されなかった。
崔承喜の舞踊作品で傾向性の強い作品が発見されたり、時間が経つにつれて傾向性が弱まり民族性が強化される傾向が観察される場合、これは崔承喜の認識とその変化を反映したものであって、兄や夫の影響を受動的に受け入れたからと見るべきではないだろう。
崔承喜は当時最高の師である石井漠から訓練を受けた独立した創作芸術家であり、スクリプトに受動的に従う演者ではなかったからである。 (jc, 2023/12/25)
'최승희 이야기' 카테고리의 다른 글
[マルセイユ1939公演] 7. 安漠に対する誤解 (1) | 2023.12.26 |
---|---|
[마르세유1939공연] 7. 안막에 대한 오해들 (0) | 2023.12.26 |
[마르세유1939공연] 6. 최승희의 경향성 (0) | 2023.12.25 |
[マルセイユ1939公演] 5.芸術的同伴者 (0) | 2023.12.25 |
[마르세유1939공연] 5. 예술적 동반자 (0) | 2023.12.25 |